ヒトの全細胞

200種類あると言われる人の細胞を、一つ一つ、全てまとめるつもりです。
2019/1/6 human-cell.comにサイト移転します。よろしくお願いします

2018年01月

神経細胞
(neuron)


○神経細胞とは


神経細胞は、神経系を構成する細胞であり、すなわち情報の処理と伝達を担う。別名でニューロンともいう。その構造は、細胞体、樹状突起、軸索という3つの部分に分けることができる。



図1 神経細胞の構造
 左側の突起が樹状突起、緑の核がある部分が細胞体、そこから右に伸びているものが軸索である。




○細胞体

細胞体は核やゴルジ装置、小胞体、ミトコンドリア等が位置しており、転写・翻訳などの一般的な細胞機能を担う領域である。その大きさは最大1㎜と、10µm程度の普通の細胞よりもはるかに大きい。複数の樹状突起からの信号をまとめて処理し、軸索へと伝える働きを持つ。


細胞体を支えている主要な骨格は中間径フィラメントの一種、ニューロフィラメントである。パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患はこのニューロフィラメントのリン酸化異常によると考えられてい
る。中心体も細胞体に存在し、軸索方面へ微小管を伸ばす。


細胞体に特徴的な構造物としては、ニッスル小体というものがある。ニッスル染色という方法で塩基性の色素に染まる、粗面小胞体の集合体である。濃く染まるのは、軸索が長いことで体積が大きくなっている神経細胞のために、リボゾームがRNAから大量のタンパク質を翻訳しているからだと考えられている。

※塩基性色素は、アミノ基などを持って水中で陽イオンとなる色素である。DNA,RNAはリン酸基を持つ酸性の物質であることから陰性を帯びており、色素と結合することができる。つまり、塩基性色素に染まる部位はRNA(リボゾーム)やDNAが豊富であることが言える。


○軸索


軸索は細胞体から伸びている突起であり、信号の出力を担う。長さは数mmから数十cmにもおよび、非常に長い。基本的には一つの神経細胞につき一本で、根元の部分を軸索小丘という。信号とはすなわち活動電位であり、軸索は細胞体から受け取った活動電位を軸索先端のシナプス前終末まで伝搬し、そこで神経伝達物質を放出することによって次の細胞に情報を伝える。


信号伝達の速度を高めるため、軸索の周りをグリア細胞が取り巻いて、髄鞘を構成しているものもある(有髄線維)。髄鞘にはところどころにランビエ絞輪と呼ばれる空間の空きがあり、活動電位はここを跳躍伝導して素早く伝わる。また、髄鞘が絶縁体であることによって、リーク電流等による活動電位の減衰を防ぐ働きもある。

関連:オリゴデンドロサイト シュワン細胞

○シナプス

軸索の先端のやや膨らんだ構造をシナプス前終末と言い、隣の細胞のシナプス後膜と合わせて「シナプス」という。ここには細胞体から微小管上を輸送されてきた分泌小胞が蓄えられておいる。


活動電位が軸索から伝わってくると電位依存性のカルシウムチャネルが開き、それをきっかけに小胞がシナプスに分泌される。シナプス後膜はそれに対応する受容体を持っており、次の神経細胞へシグナルが伝わっていく。



図2 シナプス

○樹状突起

細胞体から伸びているもう一種類の突起であり、信号の入力を担う突起を、樹状突起という。樹状突起は何本もあり、その上には多くの棘が生えている。これはシナプス後膜である。棘は隣の細胞からシナプスを介して信号を受け取り、その電位変化が閾値を超えたときにのみ発火する。樹状突起は軸索と違って髄鞘がなく、信号の減衰は大きい。またところどころにリガンド依存の陰イオンチャネルがあって減衰を促進する。様々な妨害を超えた受容な信号のみが選別されて細胞体に到達し、処理されるのである。

○活動電位

細胞外を基準として、通常の神経細胞はおよそー60mVの負の電位を持つ。これを静止膜電位といい、電位が正に触れることを活動電位、もしくは発火という。

細胞膜にはナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素イオンなどのチャネル(受動輸送)とトランスポーター(能動輸送)が存在し、細胞内外のイオン濃度比を一定に保っている。ナトリウム・カルシウム・塩素イオンは細胞外、カリウムイオンは細胞内濃度が高い。カリウムチャネルは常に開いているが、電気化学的勾配によって濃度比が維持されている。他のチャネルはリガンド結合依存性、もしくは電位依存性である。

さて、活動電位はすなわちナトリウムイオンの細胞流入である。シナプス後膜でリガンド依存性のナトリウムチャネルが開いてある程度電位を高めると、それを検知した電位依存性のナトリウムチャネルも開き、大きく正に触れる。ところが間もなく電位依存性カリウムチャネルも開き、カリウムイオンの流出によってもとに戻る。これを過分極という。

しばらくするとトランスポーターの働きでイオン濃度の細胞内外比はもとに戻っていく。この間は刺激を受けても発火しない仕組みがあり、これを不応期という。電位依存性のナトリウムチャネルは4つのサブユニットからなるが、その一つが閉じた状態を維持することによる。

シナプスで活動電位が起こると近隣の電位依存性ナトリウムが開き、活動電位が伝わっていく。不応期の仕組みは、信号伝達の逆走を防ぎ、一方向に伝えることにも役立っている。


○神経系


神経からなる一連の構造を神経系というが、大きく分けて中枢神経系と末梢神経系からなる。中枢神経系は脳および脊髄(背骨の内部に含まれる)であり、末梢神経はそのほかを指す。中枢神経は情報処理を担い、末梢神経は中枢神経と体の各部位をつなぐ働きを持つ。末梢神経はさらに信号の種類によって2つに分けられる。その一つは体性神経系であり、受容器から中枢への感覚神経と、中枢から運動器への運動神経が含まれる。もう一つは自律神経系であり、交感神経と副交感神経が含まれる。

○脳の構造

脳は大脳・間脳・中脳・橋・延髄・小脳という6つの部位からなり、神経細胞の数は300億個にも及ぶ。脳は内側から軟膜・クモ膜・硬膜・頭蓋骨に覆われている。軟膜とクモ膜の間にはクモ膜下腔という空洞があり、脳脊髄液で満たされている。クモ膜下腔は脊髄の中心管や脳室とも接続し、いずれも脳髄液を含む。

大脳は脳の一番外側の構造であり、左右の大脳半球と、それをつなぐ脳梁からなる。大脳の表面には大脳溝と呼ばれる溝と、その間に大脳回という尾根があり、しわしわに見える。特に頭頂部から両脇に降りる中心溝、側面の前後方向に走るシルビウス溝が目立つ。中心溝より前を前頭葉、シルビウス溝より下を側頭葉、上を頭頂葉、後ろを後頭葉と呼ぶ。また、表面近くを灰白質・中央部を白質という。知覚・記憶・随意運動等ヒトをヒトたらしめる機能を担う。


間脳は大脳よりも脳の中央部に位置し、視床及び視床下部からなる。視床は視覚をはじめとする感覚の処理、視床下部は体の恒常性の維持に働く。


中脳は橋や延髄とともに脳幹をなし、間脳の下に位置する。運動系の中継や、姿勢維持のための不随意運動を担う。

橋(きょう)は、中脳の下に位置し、三叉神経や顔面神経などの脳神経の出発点である。

延髄は橋の下で呼吸や嘔吐、嚥下、消化を担い、生命維持に不可欠である。麻酔が延髄にまで到達すると死ぬ。

小脳は脳の背側に位置する。知覚と運動機能の統合を担っていると言われてきたが、大脳が損傷した場合には代替を務められることもわかってきた。




図2 脳の構造
 紺色:大脳 黄色:間脳 緑:中脳 水色:延髄 臙脂:小脳 紫:橋
 右側が顔面、左側が背である。


○脊髄

脳とともに中枢神経系を構成する脊髄は、上から頚髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄に分けられる。




図3 脊髄の断面  
上側が背側、下が腹側である。青い神経は求心性、赤い神経は遠心性である。


脊髄の断面は上図のような構造をとる。脳とは逆に灰白質が内側、白質が外側に位置している。灰白質の腹側に飛び出した部分を前角(腹角)、背側の部分を後角(背角)という。遠心性の自律神経や運動神経は前角・前根を介して、求心性の感覚神経は後根から後角に投射され、それぞれ信号が伝達されている。多くの信号は脳で処理されるが、脳を介さずに感覚神経→後角→介在神経→前角→運動神経と伝わる高速な処理も行われており、これを反射という。

○末梢神経

脳から出るものを脳神経、脊髄から出るものを脊髄神経という。以下に列挙する。

脳神経…嗅神経、視神経、動眼神経、滑車神経、三叉神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経(合計12対)

脊髄神経…頸神経(8)、胸神経(12)、腰神経(5)、仙椎神経(5)、尾骨神経 (合計31対)

脊髄神経の対は骨の数に対応する。




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皮脂腺細胞
(Sebaceous gland cells)


○皮脂腺細胞とは


皮脂腺細胞は、毛根の側部の皮脂腺に位置し、皮脂を分泌する細胞である。皮脂を合成して顆粒に蓄積したのち、細胞全体を崩壊させて分泌する。



図1 毛包 
 wikipedia 英語版より 翻訳
 皮脂腺細胞は腺体で分裂し、全分泌した皮脂を導管を通して毛包へと送り出している。






○皮脂の合成


皮脂は、主にワックスエステル、スクアレン、トリグリセリドといった脂質と、水とが分散してまじりあったエマルション様の液体である。皮膚の角層の中に入り込み、汗とも混ざることができる。

※ワックスエステル…炭素数10以上の長鎖脂肪酸と8以上の脂肪族アルコールのエステル

※スクアレン…炭素数30のトリテルペン。コレステロール他ステロイドの中間体

※トリグリセリド…グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した化合物


その役目の第一は保湿であって、皮膚や毛からの水の蒸発を防いでいる。第二の役割として、外部の細菌からのバリアの役目を果たす。これは、皮脂に含まれるトリグリセリドが皮膚の常在細菌に分解され、脂肪酸となって皮膚を弱酸性に保つことによる。なお不飽和脂肪酸であるため、時がたつと酸素と反応して有害な過酸化脂質となり、皮膚を刺激し、臭いを放つようになる。よって、体は適度に洗剤で洗い、脂肪酸を洗い流す必要がある。


○皮脂腺細胞の一生


皮脂腺は、中心部の腺体と、毛包につながった導管という構造から構成される。皮脂腺細胞は腺体の基底で分裂し、細胞は片方のみが基底部に残る。もう片方の娘細胞は新たに分裂してくる細胞たちに押され、次第に腺体の上部へと移動する


腺体の上部に移動する間、皮脂腺細胞内部では脂肪滴が巨大化していく。脂肪滴が巨大化していくにつれて圧迫されていく核は腺体の上部で崩壊し、細胞死
に至る。


細胞死と同時に皮脂は
全分泌という形で放出され、導管を介して毛包へと放出される。腺細胞の分泌様式には全分泌のほかに外分泌・離出分泌という三方式が知られている。




図 3種類の分泌様式
 皮脂腺は、細胞ごと崩壊する全分泌の形で皮脂を分泌する。

○皮脂とホルモン


皮脂量は男性ホルモンであるアンドロゲンによって調節される。アンドロゲンは男性は主に精巣で、女性は副腎にて合成されている。血中に流れるアンドロゲンは主にテストステロンだが、実際に作用するのは5αリダクターゼが作用して合成されるジヒドロテストステロン(DHT)であると考えられている。

5αリダクターゼは皮脂に豊富に存在しており、DHTは皮脂量を増やすように働く。また、皮脂で合成されたDHTは傍分泌で毛乳頭にも作用し、様々な作用を及ぼすと言われている。


○ニキビ


ニキビは、毛穴に皮脂が詰まり、皮膚常在菌のアクネ菌が毛包で増殖することによる炎症である。皮脂量を調整する男性ホルモンは10代後半から20代前半がピークであるから、この年代に多い。

 
ニキビは、まず皮脂が何等かの原因で毛穴に詰まり、毛包に皮脂が溜まって皮膚が盛り上がるところから始まる。これを白ニキビと呼ぶが、さらに放置すると毛包にアクネ菌が増殖し、脂肪酸を合成して炎症を起こす。これが赤ニキビである。赤ニキビをさらに放置すると膿が溜まり、痕を残す。また、毛穴が開いて皮脂が酸化され、黒ニキビとなることもある。


牛乳や乳製品、高血糖食の摂取はインクレチンの放出を促し、それは皮脂腺細胞や角化細胞の増殖を促す。すなわちニキビを悪化させるため、ニキビ予防として牛乳を控えることは理に適っている。

治療薬としては、アクネ菌を標的とする抗生物質が多く用いられている。



○参考文献


・Docters Organic
https://www.doctors-organic.com/hishi/index.html
・小林製薬 ニキビ
https://www.kobayashi.co.jp/brand/bifnight/step2/
・Wikipedia 尋常性座瘡

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毛乳頭細胞
(Follicle Dermal Papilla Cells)


○毛乳頭細胞とは


毛乳頭細胞は、毛根の一番奥深くに位置する間葉系の細胞である。毛の元となる毛母細胞の分化や毛の伸長を促し、また神経細胞や繊維芽細胞などへの幅広い分化能を有している。

禿との関連が指摘されている男性ホルモン「アンドロゲン」の受容体を発現している。



図1 毛根


○発毛サイクルの制御

ヒトの毛は、成長期(5年)、退行期(3日)、休止期(数カ月)という発毛サイクルを繰り返す。成長期を終えて退行期に入った毛根では、毛母細胞を含む上皮細胞がアポトーシスを起こして毛が抜けていく。

このとき、毛乳頭細胞は無傷のまま保たれている


皮膚の内部に残された毛乳頭細胞は、休止期を過ぎたのち、周囲の上皮細胞を適切に分化させることで毛根形成を促す。毛乳頭細胞の発毛を促進する働きを、脱毛症に対する治療に応用できないかと期待されている。

○アンドロゲン(男性ホルモン)

アンドロゲンは、テストステロンをはじめとした男性ホルモンの総称である。男性は主に精巣のライディッヒ細胞から、女性の場合は卵巣内の卵胞から産生される。思春期の開始時に多く発現し、男性器や陰毛の発達、精子形成、筋肉や骨格の発達、声変わり、体毛増加といった第二次性徴を引き起こす。


アンドロゲンはステロイドホルモンであるため、細胞膜を通過して細胞内に侵入することができる。細胞内にに侵入したアンドロゲンは細胞質中のアンドロゲン受容体(AR)と結合し、核内に移行したARは転写因子として働いて、下流の遺伝子発現を調整する。毛乳頭細胞はアンドロゲン受容体を強く発現している。





図2 テストステロンの構造(アンドロゲンの一種)


○アンドロゲンと禿頭について

アンドロゲンは、腋毛・髪毛の硬毛化や髭・胸毛の増毛を促すが、体全体の産毛や眉毛には関与しないと考えられている。また、発毛のサイクルにおいて、アンドロゲンはひげの成長期を延長する作用を持つが、髪のそれは短くするなど、アンドロゲンの作用は体の部位ごとの作用に違いがあることが指摘されている。


禿について考えれば、頭頂部が側頭部よりも禿げやすいなどの部位差が見られる。テステステロンは毛乳頭で5αリダクターゼに還元され、強力なジヒドロテストステロン(DHT)となってから実際に作用するが、禿げやすい部位と禿げにくい部位では5αリダクターゼの種類が異なっていることが知られており、禿げやすさの違いはこれが原因とされる。


"女性ホルモンで髪の毛が促進され、男性ホルモンで退化する"というアイデアは良く知られているが、そもそも毛乳頭に女性ホルモン受容体があるのかは不明であり、俗説に過ぎない。髪はヒトに独特なものであって、実験動物がうまく応用できないという。



図3 フランシスコザビエル
 これはトンスラと呼ばれるカトリック聖職者の髪型であり、禿げとは異なるが、「禿げといえばザビエル」という風によく知られている。本来のトンスラは側頭部の髪も切って鉢巻状にのみ残すものであり、この図は想像で描かれたとのこと。



○参考文献

Hair follicle dermal papilla cells at a glance Journal of cell science, 2011
・髪の毛の生物学 安藤健二

〇関連項目
毛母細胞

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毛母細胞
(Hair matrix cell)



○毛母細胞とは


毛母細胞は、名の通り毛を作る細胞である。毛の根本付近(毛母体)で絶えず分裂しており、毛母細胞が角質化したものが毛の正体である。毛母体付近にはメラニン細胞も存在し、毛母細胞はそこからメラニン色素を受け取って黒い髪を作り出す。皮膚の角化細胞と作用が類似していることからわかるように、毛母細胞も上皮細胞の一種である。

角化については、角化細胞を参照

○毛包


毛本体とその周囲の構造をまとめて、毛包と呼ぶ。根本が膨らんだ構造をとっており、そこを毛乳頭という。毛乳頭の周囲には毛母体が存在し、毛母細胞が盛んに分裂している。毛乳頭には毛細血管が通っており、物質の交換を行う。

毛は二層の鞘に覆われた構造を持ち、これを外毛鞘、内毛鞘という。外毛鞘はそのまま皮膚につながっている。そのほか、毛包は毛を立たせる立毛筋、皮脂を分泌する皮脂腺、外毛鞘に存在して幹細胞に富むバルジという構造を含む。


図1 毛包


○毛の構造


毛の太さは一般に0.1㎜程度であり、構成物質の90%以上がケラチンである。ケラチンは毛母細胞が産生するタンパク質であるが、システインからのジスルフィドに富んでいるため、非常に固い。残りの10%は水で、しなやかさを決定する。

毛の最内側は髄質外側を皮質という。皮質メラニンを大量に含んだ紡錘型の細胞が多く、髄質はそれよりも大きくてメラニンの少ない球形の細胞が見られる。髪の性質は皮質が決定する。皮質のさらに外側にはクチクラ層が発達しており、髪の強度をさらに高めている。

クチクラを構成するタンパク質もまた、ケラチンである。内毛根鞘細胞がメラニンを獲得せずに角化した無色の層で、5,6層の鱗状構造をとる。鱗の表面はMEA(18-メチルエイコサン酸)と呼ばれる脂質が覆っており、ツヤや手触りを決定する。

○発毛サイクル


人間は髪を切りに理髪店や美容室へ足を運ぶが、そんなことをしなくとも、髪は5年程度で生え変わるサイクルを持つ。まず4年程度の成長期で伸びた後、退行期に毛母基が消滅し、休止期に新たな毛に押し出されるようにして脱毛する。健康な人でも一日100本程度脱毛している。

壮年性脱毛症は、成長期が短くなって退行期が早く来ることにより、毛が十分伸び切らない内に抜けてしまい、薄毛となる疾患である。その薬として開発されたのが、「発毛の医薬品はリアップだけ」のCMでおなじみだった、ミノキシジルである。

○ミノキシジル


医療用医薬品を経ずに一般に上市された、日本初のダイレクトOTC薬である。毛包を成長させる働きを持つと同時に、毛母細胞の分裂も促進して伸びる速度を高める作用を持つ。ミノキシジルの作用機序は、平滑筋の弛緩とそれによる毛細血管の血流増加であると言われている。経口投与であるため全身に作用するが、髪によく効く。理由は不明。

○髪色


ヒトの髪の色は、大まかに黒・栗(茶)の四色である。黒髪は東アジアやアフリカ、南アジア、中東、太平洋諸島などに多く見られ、大量の黒いユーメラニンが含まれている。栗毛は地中海沿岸に多く、ユーメラニンを主とするが、赤褐色のフェオメラニンも含む。金髪は白人の間でも少なくて、全世界の1~2%である。フェオメラニンが多い。最後の赤髪は極端に珍しく、スコットランド・アイルランドに見られる。ほとんどがフェオメラニンである。

遺伝的には、フェオメラニン・ユーメラニンの生成にかかわる遺伝子が重要である。基本的にはユーメラニンが多い遺伝子、すなわち黒・栗が優性な形質を持つ。




○参考文献

・花王 肌ケアと髪ケアの知識
http://www.kao.com/jp/haircare/
・MENARD 用語辞典
https://www.menard.co.jp/beauty/word/detail_1001028.html


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メルケル細胞
(Merkel cell)


○メルケル細胞とは


メルケル細胞は、皮膚の表皮付近に位置して触覚に関与する細胞である。大きさは約10μmの球形であり、50μm程度の角化細胞に比べて遥かに小さい。1875年にメルケル博士によって発見されたが、機能が判明したのは21世紀に入ってからのことである。




図1 メルケル細胞



○触覚


皮膚の触覚には5種類の機構が作用している。メルケル細胞の他に、自由神経終末、ルフィ二終末、パチニ小体、マイスナー小体である。ルフィニ終末、パチニ小体、マイスナー小体の三種は真皮に位置し、それぞれ皮膚の伸び、細かな振動、大まかな振動を検知する。自由神経終末は表皮の中に入り込んで温度、痛み等に反応を示す。

○メルケル細胞の機能


 そしてメルケル細胞は弱い刺激を検知し、感覚神経に情報を伝える。20から40個のメルケル細胞が一つの神経と対応しており、表面のデコボコや角を認識するのに役立っている。動的な刺激ばかりでなく静的な刺激にも反応し、「触れている」という感覚を神経に与えている。

○分子機構


メルケル細胞の表面に位置するPiezo2という機械刺激依存性の陽イオンチャネルが反応の鍵となる。Piezo2は30回膜を貫通した構造を取っており、わずか0.6μm程度の機械的刺激を受けると開く。膜電位が上昇したのを電位依存性のCaチャネルが認識して開くと、シナプスに向けて神経伝達物質の顆粒が放出され、それを感覚神経が受容するのである。


○参考文献

・生命誌ジャーナル
 高度な触覚センサとして活躍する小さな細胞  仲谷正史
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/090/research/1.html


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