ヒトの全細胞

ヒトの体は37兆個の細胞から構成され、その種類としては約200種であると言われています。「赤血球」「神経細胞」「骨細胞」などの体内の細胞と、「iPS細胞」「HeLa細胞」などの培養細胞を解説します。

腎臓に関する細胞

尿細管上皮細胞

投稿日:2018年2月6日 更新日:

尿細管上皮細胞
(renal tubular epithelial cell)
 

尿細管上皮細胞とは

尿細管上皮細胞は、その名の通り尿細管の上皮細胞である。近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、緻密斑でそれぞれ異なる特徴を持つ。

尿細管

尿細管は、ボウマン嚢で濾過された原尿を運ぶ管である。ボウマン嚢や糸球体は腎臓の皮質に位置しているが、原尿は尿細管を通って髄質へと運ばれる。その後、ヘンレのループで向きを反転して再び皮質に戻り、集合管へと注がれている。ヘンレループより前を近位尿細管、ヘンレループより後の部分を遠位尿細管という。

腎臓

図1 尿細管の構造と機能 

近位尿細管

近位尿細管に位置する上皮細胞は立方で円形の核を有し、強い好酸性を示す。基底膜に基底線条、管腔側には刷子縁と呼ばれる構造が見られる。基底線条はミトコンドリアが縦向きに密に並んだ構造であり、産生するエネルギーを用いて再吸収を行っている。刷子縁は不揃いな微絨毛が密に形成された構造であり、近位尿細管のみに見られる。

近位尿細管は最も再吸収が盛んな部位であり、ほぼすべての糖やアミノ酸、Na、Clイオンなどが能動的に再吸収されている。浸透圧を利用した水の再吸収も行われており、結果として原尿の65%はここで吸収されることになる。

ヘンレループ

ヘンレループは近位尿細管に続く部位で、非常に細い。上皮細胞は単層の扁平であり、絨毛はなく、ミトコンドリアも非常に少ない。水やイオンの再吸収を行っている。皮質から髄質方向への前半部を下行脚、髄質から皮質への後半を上行脚という。

ヘンレループでの再吸収は、対向流交換系という仕組みを用いている。

下行脚の上皮はイオンの透過を許さずに水のみを再吸収するため、深くなるにつれて原尿の濃度・浸透圧は上昇していく。同時に外部環境も深くなることで浸透圧が上昇していくため、水の再吸収は続く。一方、上行脚ではイオンの能動的再吸収が起こるものの、水の透過を許さない。そのため上に行くにつれてイオン濃度が低下していくが、それに従って再吸収効率も低下していくため、腎髄質の濃度勾配を作り出していると言える。これを対向流交換系という。

30%程度の原尿はここで再吸収される。

ヘンレループ
図2 ヘンレループ 看護roo より

遠位尿細管

遠位尿細管はヘンレループに続く部位で、ミトコンドリアが豊富に存在する。基底線条はみられない。副腎皮質から分泌されるアルドステロンが作用すると、Na+を再吸収し、K+を排泄する。Na+と同時に水も再吸収されるため、血圧をあげる向きに働く。炭酸水素塩を吸収し、プロトンを分泌することによって血液のpHを上げるように調節する働きもある。

遠位尿細管上皮のうち、特に糸球体に近い部分を緻密斑と呼ぶ。丈が高くて密集していることがその特徴であり、尿中のCl-イオン濃度の低下に反応してプロスタグランジンを生成し、傍糸球体細胞からのレニンの産生を促す。緻密斑・傍糸球体細胞・糸球体外メサンギウム細胞を合わせて傍糸球体装置と呼ぶ。

関連:傍糸球体細胞 メサンギウム細胞

尿沈渣

尿を遠心分離し、沈殿した細菌や細胞成分を顕微鏡で観察する検査のことを「尿沈渣」と呼ぶ。視野の中に赤血球や白血球・上皮細胞・円柱などがいくつ含まれるかを計測する。

尿細管上皮細胞が尿沈渣中に見出されるということは、尿細管の異常を意味する。腎血流の低下による急性尿細管壊死や腎毒による中毒性尿細管壊死糸球体の疾患が原因であり、放置すれば腎機能低下のきっかけとなる。

参考文献

・看護roo 利尿薬の選び方
Qシリーズ 新組織学
広島市医師会だより (第498号 付録)

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