外套細胞とは
外套細胞は、末梢神経の神経節におけるアストロサイトである。神経節膠細胞、衛星細胞とも呼ばれている。その機能は中枢におけるアストロサイトと同じく、神経細胞への栄養供給、構造支持、代謝調節であると考えられている。
機能は似ているものの、アストロサイトのマーカーであるGFAPを発現していなかったり、アストロサイトに顕著な突起が見られなかったり、神経上皮由来のアストロサイトに対して外套細胞が神経堤細胞由来であったり、といった相違点も多い。一つの神経節に数十個の外套細胞が位置している。
神経節
神経節とは、神経細胞が集合した構造のうち、末梢にあるものを指す。具体的には①脊髄における後根神経節、②自律神経のニューロンが交代する神経節のほかに、③各感覚神経について一つずつ存在する。中枢神経における同様な構造は神経核と呼ばれ、大脳基底核がその代表例である。
脊髄後根は脊髄の後角に投射する神経の束であり、下図では後根の中に丸い塊として後根神経節が描かれている。後根神経節は求心性の感覚神経(皮膚・筋肉・腱から脊髄・脳へ情報を伝える)の細胞体が位置し、末梢に樹状突起、脊髄へ軸索を伸ばす。三叉神経(頭部皮膚)をはじめとする他の感覚神経も同様の神経節を構成しており、いずれも末梢で取得された情報が電気信号の形で伝わり、神経節の細胞体で統合されて脊髄へと送られる。
外套細胞はこの後根神経節に存在し、栄養供給や構造維持、代謝調節などの機能を果たしている。

青が求心性(末梢→中枢)の神経、赤が遠心性(中枢→末梢)の神経を表す。後角の内部にある膨らみが後根神経節である。
自律細胞の神経節は、中枢神経に細胞体を持つ節前ニューロンの軸索と、末梢を支配する節後ニューロンの樹状突起とがシナプスを形成する部位である。自律神経は交感神経と副交感神経を含み、神経節は脊椎の両側に位置している。神経節においては、交感神経・副交感神経の節前神経は共に伝達物質としてアセチルコリンを放出する。外套細胞はシナプスを覆い、情報伝達の促進などの機能を支えている。
図 神経節
http://neurones.co.uk/Neurosciences/Chapters/Chapter%202/P.2.4%20Autonomic%20NS.html より和訳
○関連項目
・神経細胞
○参考文献
・脳科学辞典
・Wikipedia

2019年3月薬学修士。現在は博士課程の駆け出し研究者です。
細胞生物学を専門分野として、3年以上研究を続けています。
図は青でDNA,緑で紡錘体(微小管)を免疫染色した画像です。
よろしくお願いします。