網膜神経節細胞
(Retinal ganglion cell)

○網膜神経節細胞とは

網膜神経節細胞は、双極細胞やアマクリン細胞から受け取った情報を処理し、視床外側膝状体へと伝える神経細胞である。長い軸索をその特徴とし、網膜全体で150万細胞ほどが存在する。双極細胞に対応したオン型とオフ型とが存在し、その受容野は双極細胞と同様に中心周辺拮抗型である。神経節細胞にはミエリン鞘がなく、間脳が突出したものとされる。


網膜の細胞
図1 網膜
 黄色で示されているのが神経節細胞である。



○スパイク

オン型錐体双極細胞が光受容のシグナルを受けてグルタミン酸を発すると、オン型の神経節細胞のAMPA/KA受容体に結合する。神経節細胞は暗時でも自発的に活動電位のスパイクを出しているが、グルタミン酸を受容すると発火の頻度が上昇する。オフ型はこの逆であり、光があたる場合にスパイク頻度が抑制される。スパイクの頻度を情報として下流に伝えている。

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図2 スパイク
 中心オフ型神経節細胞は、中心がオフで周囲がオンの場合にもっともよく発火する。



○視神経交叉

神経節細胞の軸索が集まったものを視神経という。神経節細胞の軸索は鼻側半分と耳側半分とでまとめられ、一つの目からは二本の神経が伸びている。そのうちで、耳側半分の神経線維は同じ側(右目なら右側)の視索(交叉後の神経束)に入り、鼻側半分のものは反対側に入る。右目と左目からの神経線維は視床の近くで交わり、これを視神経交叉という。


交叉した視神経は間脳の視床外側膝状体(左右)に投射される。この仕組みによって、右視野の情報は左の外側膝状体で、左視野の情報は右側の外側膝状体で処理されることとなる。


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図3 視神経交叉
 http://www.js-brain.com/kankaku/sikousa.html より引用


○視床外側膝状体

外側膝状体は視床の一部をなす部位であり、左右に一対存在する。6層の構造を持って腹側を第1層と呼び、1、2層に位置する神経細胞をM細胞、3,4,5,6層をP細胞、間にあるものをK細胞という。M細胞(大細胞)は高速で簡単な処理を、P細胞(小細胞)は低速で詳細な処理を行う。K細胞(顆粒細胞)に関してはよくわかっていない。また、外側膝状体と同じ側に位置する目(耳側)の情報は2,3,5層に、反対側の目(鼻側)は1,4,6層に投射される。

外側膝状体で処理された情報は、大脳一次視覚野へと向かう。

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図4 外側膝状体


〇神経節細胞の種類

外側膝状体のどの細胞に投射するかに応じて、神経節細胞はいくつかの種類に分かれている。
(日本語訳は筆者)

1.Midget細胞(小人細胞)
 外側膝状体のP細胞に投射する神経節細胞である。受容野は小さく、色に応答する。応答速度は速い。
2.Parasol細胞(日傘細胞)
 外側膝状体のM細胞に投射する神経節細胞である。受容野は大きく、コントラストに応答する。応答速度は遅く、持続する。
3.Bistratified細胞(二層細胞)
 外側膝状体のK細胞に投射する神経節細胞である。受容野は中間で、色・コントラスト共に応答する。応答速度は中くらいである。
4.光感受性神経節細胞
 色素としてメラノプシンを持ち、それ自体が光を受容する神経節細胞である。視交叉上核に投射し、概日周期に関係する。


〇関連項目 
双極細胞
アマクリン細胞

〇参考文献
・脳の仕組みと役割
 http://www.js-brain.com/kankaku/sikousa.html

・Wikipediaの各項目
 神経節細胞
 概日リズム
 外側膝状体 
 視神経

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