T細胞
(T cell)
〇T細胞とは

T細胞は、胸腺(Thymus)において分化するリンパ球の一種である。毛細血管から染み出したリンパ液(ラテン語で水)内に多く見つかる。細胞膜上にT細胞受容体(T cell receptor、TCR)を持つ。CD4(cluster of differentiation 4)を膜上に発現したものをヘルパーT細胞CD8を発現したものをキラーT細胞と大別する。





〇T細胞の分化

 造血幹細胞が胸腺に移動して分化したものが、T細胞である。はじめは膜上にCD4、CD8を発現せずにダブルネガティブ(DN)の状態であるが、TCRのβ鎖の再構成(VDJ)が完了するとCD4+CD8+のダブルポジティブ(DP)となる。続いて、胸腺皮質上皮細胞(cTEC)が膜に発現した抗原提示分子のMHCと相互作用するものだけが生き残る正の選択を受け、CD4かCD8か片方のみを発現するシングルポジティブの状態となる。最後に、胸腺髄質上皮細胞・樹状細胞に提示された自己抗原に反応するものが除かれる負の選択を受ける。

〇ナイーブT細胞

 負の選択を生き延びたT細胞は循環血を流れ、リンパ節に至る。抗原に出会う前の段階のT細胞を、ナイーブT細胞という。二次リンパ組織(リンパ節)で樹状細胞に出会い、提示する抗原をTCRを介して受容した場合に限って活性化され(エフェクターT細胞)、その場のサイトカインに応じて分化・増加して局所に移動する。活性化に際しては、抗原との認識のほかに、エフェクターT細胞膜上のCD28と、樹状細胞膜上のCD80/CD86との結合による副刺激も必要となる。

〇ヘルパーT細胞

 CD4抗原を発現するリンパ球の集団をヘルパーT細胞という。機能に応じてTh1,Th2,Th17,Tregなどの亜集団に分けることができる。

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図 Th細胞の分化

・Th1細胞
 IFNγIL-12の刺激を受けてSTAT1やSTAT3が活性化し、T-betという転写因子の働きで分化したものがTh1細胞である。IL-12は樹状細胞とマクロファージが、IFNγはNK細胞が分泌する。Th1細胞は、IFNγを筆頭とするいわゆるTh1サイトカインを産生する。細胞性免疫に関与し、マクロファージやキラーT細胞を活性化してウイルスを除去する働きを持つ。Th2の機能を抑制する。

・Th2細胞
 IL-4やIL-13の刺激でSTAT6が活性化し、転写因子GATA3の働きで分化する。IL-4を筆頭とするTh2サイトカインを出す。B細胞を刺激して抗体産生を促進したり、好酸球を活性化したりといった働きを持ち、液性免疫を促進する。

・Th17細胞
 TGFβとIL-6両方の刺激で転写因子RORγtが働き、分化する。サイトカインIL-17を放出し、炎症を引きおこす。リウマチ、多発性硬化症などの原因となる細胞である。

・Treg細胞
 CD4+に加えてCD25+を膜上に持つ、自己免疫を抑制する細胞である。TGFβのみの刺激を受けると、Foxp3が転写因子として働き、分化する。CTLA4を膜上に持ち、抗原提示細胞のCD80/86と結合することにより、T細胞の活性化に必要な副刺激を抑制する。

〇キラーT細胞

 CD8+の細胞をキラーT細胞という。細胞傷害物質であるパーフォリンやグランザイム、TNFなどを放出したり、Fasを刺激して細胞死を誘導する機能を持つ。