線維芽細胞
(fibroblast)


〇線維芽細胞とは

線維芽細胞は、結合組織を形成する細胞である。楕円形の核を持つことをその特徴とし、成人でも活発に分裂を続けている。

nih3t3

図1 マウス線維芽細胞 NIH-3T3


〇結合組織

結合組織は細胞外を満たしている領域であり、基質と線維成分からなる。
その成分は全て線維芽細胞によって産生されている

1.膠原線維

 膠原線維はコラーゲン線維が会合してできた線維であり、組織に硬さを与えている。線維芽細胞はα鎖の3重螺旋構造のプロコラーゲンを分泌し、間もなくペプチダーゼが作用して両端が切り離され、トロポコラーゲンとなる。トロポコラーゲンは会合して直径100nm程度のコラーゲン原線維を形成し、さらにコラーゲン原線維は会合してコラーゲン線維となる。会合の過程においてコラーゲン分子同士は共有結合を形成し、強度を高めている。

 アミノ酸組成はグリシンやプロリンが多く、またコラーゲンに特異的なヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジンを含む。ヒドロキシプロリン、リジンはプロコラーゲン形成時の水素結合に重要な役目を果たすが、その合成にはビタミンCを必要とするため、ビタミンCが不足するとコラーゲン線維が形成できなくなり、壊血病となる。

 コラーゲンは16種が知られているが、特にⅠ~Ⅳ型が重要である。I型は皮膚や骨、腱に、Ⅱ型は軟骨、Ⅲ型は細網繊維、Ⅳ型は基底版にそれぞれ位置している。

2.弾性線維

 弾性繊維は球状タンパク質のエラスチンと短い線維のマイクロフィブリルによる複合体である。肺胞や動脈壁のような伸び縮みする部位の結合組織に多く、ばねのような弾性を与えている。機械的な力で直線的構造をとることが可能なエラスチンが、まるまった状態で安定であることに因る。線維芽細胞で合成され、互いに架橋した編み目構造をとっている。コラーゲン繊維を支える働きもある。

3.細網線維

 Ⅲ型コラーゲンからなる細い線維で、骨髄の造血組織やリンパ組織で観察される。直径は20nm程度であり、太くなることはない。その多くは線維芽細胞が産生するが、末梢神経のシュワン細胞や血管・消化管の平滑筋細胞も産生する。

4.基質
 
 結合組織から線維を除いたもので、タンパク質やムコ多糖類を含んだ細胞外液である。多糖類はグリコサミノグリカンと呼ばれ、多数のグリコサミノグリカンが1つのコア蛋白と結合し、プロテオグリカンを構成する。これらも線維芽細胞が産生する。

 グリコサミノグリカンとしては、コンドロイチン硫酸、ヘパリン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸などが知られている。軟骨ではⅡ型コラーゲン線維がコンドロイチン・ヒアルロン酸と共にクッション機能をもたらしていると考えられているため、これらはサプリメントとして重宝されている。


〇フィブロネクチン

 線維芽細胞はまた、結合組織の基礎部となるフィブロネクチンを分泌する。フィブロネクチンは細胞表面のインテグリンと、細胞外に分泌されたコラーゲンやプロテオグリカン類とに結合し、細胞と細胞外をつないでいる分子である。

 創傷治癒の過程において、フィブリン凝固物を置き換えるのものを肉芽組織というが、これはすなわち線維芽細胞が産生したコラーゲンである。傷に集まったマクロファージからの刺激を受けた線維芽細胞がコラーゲンやフィブロネクチンなどの各種細胞外マトリックスのタンパク質を産生し、細胞外環境を整えている。治癒後には消滅する。

「Fibronectin」の画像検索結果
図2 フィブロネクチン(My biosource.com より)

〇まとめ

・線維芽細胞は、結合組織を産生する細胞である。

・成人でも盛んに分裂を続けている。

・結合組織は、膠原繊維・弾性繊維・細網繊維・基質とに大別できる。






〇参考文献
・Qシリーズ 新組織学