破骨細胞
(Osteoclast)



〇破骨細胞とは

破骨細胞は、骨縁において骨を吸収する細胞である。骨との接触部に波状縁と呼ばれる構造を持ち、そこから分解酵素が放出されている。破骨細胞の働きによって生じた骨上のくぼみをハウシップ窩という。一つの破骨細胞5~20個の核を持つ。

Osteoclast.jpg

図1 破骨細胞  中央に位置する多核の細胞が破骨細胞である。



〇分化

破骨細胞造血幹細胞が単球系前駆細胞を経て分化・融合することによって形成される。まず成熟した骨芽細胞由来のマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)で未熟貪食細胞に分化した後、骨芽細胞の細胞膜に発現するRANKL(recepter activator of NF-κβ)と、未熟破骨細胞の膜上に位置する受容体のRANKが相互作用することにより、分化シグナルが走る。

デノスマブをはじめとする抗RANKL製剤は破骨細胞の分化を抑える効果を持ち、骨粗鬆症の薬として用いられている。


〇骨の分解

破骨細胞は細胞外領域に対し、コラーゲン分解酵素(コラゲナーゼ)や水素イオン、各種酵素を放出する。水素イオンを放出することでpHを低下させ、

Ca10(PO4)6(OH)2 + 8 H+ ←→ 6(HPO4)2− + 2 H2O + 10 Ca2+ 

という平衡反応を右に傾けて、石灰成分を溶かし出すことができる。骨芽細胞がH+濃度を下げることで平衡を左に傾けて骨形成を行うのとは、対照的になっている。

この機構による骨吸収は、骨リモデリング骨芽細胞を参照)や血中のカルシウム濃度の制御のために行われている。副甲状腺から放出されるパラトルモンは血中カルシウム濃度を下げるホルモンであり、破骨細胞の働きを抑制する。一方、甲状腺の傍濾胞細胞から分泌されるカルシトニンは血中カルシウム濃度を高めるホルモンであるから、破骨細胞の働きを促進することになる。

破骨細胞が開けたくぼみ(ハウシップ窩)には間もなく骨芽細胞が移行し、骨の再形成が行われる。


〇疾患

破骨細胞の働きが足りない場合、骨が異常に硬くなって、大理石骨病を発症する。大理石骨病では、骨髄腔が縮小して造血障害の症状も現れ、貧血や免疫機構の低下も見られる。一方で破骨細胞が過剰に働いた場合は、骨粗鬆症や骨ぺージェット病となり、骨がもろくなってしまう。

〇まとめ

・破骨細胞は、造血幹細胞から分化する。

・水素イオンを放出することにより、骨を溶かす。

・破骨細胞の阻害剤は骨粗鬆症の治療薬として用いられている。





〇参考文献
・新組織学 日本医事新報社
・シンプル病理学 南江堂
・破骨細胞物語
・https://www.torii.co.jp/health/lifescience/pdf/45_1.pdf