皮脂腺細胞
(Sebaceous gland cells)


〇皮脂腺細胞とは

皮脂腺細胞は、毛穴の側部の皮脂腺に位置する細胞である。皮脂を合成して顆粒に蓄積したのち、細胞全体を崩壊させて分泌する。この様式を全分泌という。


毛包

図1 毛包 
 右上部の黄色く示されたものが皮脂腺である。

〇皮脂の合成

皮脂は、主にワックスエステル、スクアレン、トリグリセリドから構成されるエマルション様の液体である。エマルションは、水と脂肪とが分散した液体をいう。角層の中に入り込み、汗とも混ざることができる。

※ワックスエステル…炭素数10以上の長鎖脂肪酸と8以上の脂肪族アルコールのエステル
※スクアレン…炭素数30のトリテルペン。コレステロール他ステロイドの中間体
※トリグリセリド…グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した化合物

その役目の第一は保湿であって、皮膚や毛からの水の蒸発を防ぐ。第二として、外部の細菌からのバリアの役目を果たす。これは、皮脂に含まれるトリグリセリドが皮膚の常在細菌に分解され、脂肪酸となって皮膚を弱酸性に保つことによる。なお不飽和であるため、時がたつと酸素と反応して有害な過酸化脂質となり、皮膚を刺激する。かつ、臭い。よって、体は適度に洗剤で洗う必要がある。


〇皮脂腺細胞の一生

皮脂腺は、中心部の腺体と、毛包につながった導管という構造からなる。皮脂腺細胞の一生は皮脂腺腺体の基底で分裂することから始まる。腺細胞は基底で常に分裂を続けており、分裂してできた新たな細胞は次第に上部へと押されていく。この間、腺細胞は脂肪滴を細胞内に蓄積し、巨大化していく。初めは球形の核を持つが、次第に脂肪滴につぶされて崩壊し、ついには死に至る。その時に皮脂は放出され、導管を介して毛包へと放出されるのである。


〇皮脂とホルモン

皮脂量は男性ホルモンであるアンドロゲンによって調節される。アンドロゲンは男性は主に精巣で、女性は副腎にて合成されている。血中に流れるアンドロゲンは主にテストステロンだが、実際に作用するのは5αリダクターゼが作用して合成されるジヒドロテストステロン(DHT)であるとされる。5αリダクターゼは皮脂に豊富に存在しており、DHTは皮脂量を増やすように働く。また、皮脂で合成されたDHTは傍分泌で毛乳頭にも作用し、様々な作用を及ぼすと言われている。


〇ニキビ

ニキビは、毛穴に皮脂が詰まり、皮膚常在菌のアクネ菌が毛包で増殖することによる炎症である。皮脂量を調整する男性ホルモンは10代後半から20代前半がピークであるから、この年代に多い。
 
ニキビは、まず皮脂が何等かの原因で毛穴に詰まり、毛包に皮脂が溜まって皮膚が盛り上がるところから始まる。これを白ニキビと呼ぶが、さらに放置すると毛包にアクネ菌が増殖し、脂肪酸を合成して炎症を起こす。これが赤ニキビである。赤ニキビをさらに放置すると膿が溜まり、痕を残す。また、毛穴が開いて皮脂が酸化され、黒ニキビとなることもある。


牛乳や乳製品、高血糖食の摂取はインクレチンの放出を促し、それは皮脂腺細胞や角化細胞の増殖を促す。すなわちニキビを悪化させるため、ニキビ予防として牛乳を控えることは理に適っている。

治療薬としては、アクネ菌を標的とする抗生物質が多く用いられている。

〇参考文献

・Docters Organic
https://www.doctors-organic.com/hishi/index.html
・小林製薬 ニキビ
https://www.kobayashi.co.jp/brand/bifnight/step2/
・Wikipedia 尋常性座瘡

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