皮脂腺細胞
(Sebaceous gland cells)


○皮脂腺細胞とは


皮脂腺細胞は、毛根の側部の皮脂腺に位置し、皮脂を分泌する細胞である。皮脂を合成して顆粒に蓄積したのち、細胞全体を崩壊させて分泌する。

皮脂腺2

図1 毛包 
 wikipedia 英語版より 翻訳
 皮脂腺細胞は腺体で分裂し、全分泌した皮脂を導管を通して毛包へと送り出している。






○皮脂の合成


皮脂は、主にワックスエステル、スクアレン、トリグリセリドといった脂質と、水とが分散してまじりあったエマルション様の液体である。皮膚の角層の中に入り込み、汗とも混ざることができる。

※ワックスエステル…炭素数10以上の長鎖脂肪酸と8以上の脂肪族アルコールのエステル

※スクアレン…炭素数30のトリテルペン。コレステロール他ステロイドの中間体

※トリグリセリド…グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した化合物


その役目の第一は保湿であって、皮膚や毛からの水の蒸発を防いでいる。第二の役割として、外部の細菌からのバリアの役目を果たす。これは、皮脂に含まれるトリグリセリドが皮膚の常在細菌に分解され、脂肪酸となって皮膚を弱酸性に保つことによる。なお不飽和脂肪酸であるため、時がたつと酸素と反応して有害な過酸化脂質となり、皮膚を刺激し、臭いを放つようになる。よって、体は適度に洗剤で洗い、脂肪酸を洗い流す必要がある。


○皮脂腺細胞の一生


皮脂腺は、中心部の腺体と、毛包につながった導管という構造から構成される。皮脂腺細胞は腺体の基底で分裂し、細胞は片方のみが基底部に残る。もう片方の娘細胞は新たに分裂してくる細胞たちに押され、次第に腺体の上部へと移動する


腺体の上部に移動する間、皮脂腺細胞内部では脂肪滴が巨大化していく。脂肪滴が巨大化していくにつれて圧迫されていく核は腺体の上部で崩壊し、細胞死
に至る。


細胞死と同時に皮脂は
全分泌という形で放出され、導管を介して毛包へと放出される。腺細胞の分泌様式には全分泌のほかに外分泌・離出分泌という三方式が知られている。

分泌2


図 3種類の分泌様式
 皮脂腺は、細胞ごと崩壊する全分泌の形で皮脂を分泌する。

○皮脂とホルモン


皮脂量は男性ホルモンであるアンドロゲンによって調節される。アンドロゲンは男性は主に精巣で、女性は副腎にて合成されている。血中に流れるアンドロゲンは主にテストステロンだが、実際に作用するのは5αリダクターゼが作用して合成されるジヒドロテストステロン(DHT)であると考えられている。

5αリダクターゼは皮脂に豊富に存在しており、DHTは皮脂量を増やすように働く。また、皮脂で合成されたDHTは傍分泌で毛乳頭にも作用し、様々な作用を及ぼすと言われている。


○ニキビ


ニキビは、毛穴に皮脂が詰まり、皮膚常在菌のアクネ菌が毛包で増殖することによる炎症である。皮脂量を調整する男性ホルモンは10代後半から20代前半がピークであるから、この年代に多い。

 
ニキビは、まず皮脂が何等かの原因で毛穴に詰まり、毛包に皮脂が溜まって皮膚が盛り上がるところから始まる。これを白ニキビと呼ぶが、さらに放置すると毛包にアクネ菌が増殖し、脂肪酸を合成して炎症を起こす。これが赤ニキビである。赤ニキビをさらに放置すると膿が溜まり、痕を残す。また、毛穴が開いて皮脂が酸化され、黒ニキビとなることもある。


牛乳や乳製品、高血糖食の摂取はインクレチンの放出を促し、それは皮脂腺細胞や角化細胞の増殖を促す。すなわちニキビを悪化させるため、ニキビ予防として牛乳を控えることは理に適っている。

治療薬としては、アクネ菌を標的とする抗生物質が多く用いられている。



○参考文献


・Docters Organic
https://www.doctors-organic.com/hishi/index.html
・小林製薬 ニキビ
https://www.kobayashi.co.jp/brand/bifnight/step2/
・Wikipedia 尋常性座瘡

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