白色脂肪細胞
(white fat cell)




〇白色脂肪細胞とは

白色脂肪細胞は、細胞内に一つの大きな脂肪滴(単胞)を持った白い細胞である。脂肪の蓄積を担っており、脂肪の代謝を行う褐色脂肪細胞とは真逆の働きを持つ。直径は最大で150μmにもなる大きな細胞で、大人では400億個ほど存在する。

 エネルギーの貯蔵と保温が主な役割であり、グルカゴン、アドレナリン、ノルアドレナリン、成長ホルモンなどが脂肪細胞のGPCRに結合すると脂肪分解が進み、エネルギーを産生する。

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図1 白色脂肪組織

○白色脂肪細胞の形成

白色脂肪細胞は、脂肪前駆細胞でPPARγという転写因子が働いて、脂肪滴を蓄えることによって生じる。脂肪滴に蓄えられている物質は脂肪であり、前駆細胞は血中のカイロミクロン等のリポタンパク質から取り込んでいる。

リポタンパク質は、血中で不安定な疎水性の中性脂肪を両親媒性のアポタンパク質が覆い、安定化したものである。脂肪滴を溜め込んで肥大化した白色脂肪細胞は隣接する前駆細胞に働いてPPARγを活性化し、新たな脂肪細胞か誕生する。

従来、脂肪細胞は子供の頃にしか現れないと考えられてきたが、現在は否定されている。なお、前駆細胞と白色脂肪細胞は可逆的な変化であるため、貧栄養時に脂肪滴を失った白色脂肪細胞は前駆細胞に戻る。


○産生する因子

白色脂肪細胞は、アディポネクチンやアンジオテンシノーゲン、レプチン、TNFαなどの様々な因子を産生し、体内環境を調節する働きを持つ。

・アディポネクチン

 アディポネクチンは、μg/mlという高濃度で血中を流れているホルモンである。インスリンの感受性を高め、血糖値を下げる働きを持つ。脂肪細胞が多くなればなるほど濃度が低下していくという不思議な特徴を持つ。

・アンジオテンシノーゲン

  アンジオテンシンの前駆体である。アンジオテンシンはレニンーアンジオテンシンーアルドステロン系に関与する物質であり、血圧の上昇に作用する。脂肪細胞が多くなると濃度も高くなり、高血圧となる。

・レプチン

 レプチンは脳に体内の脂肪の量を伝えているペプチドホルモンであり、食欲を制御する神経細胞を抑制する働きを持つ。レプチン受容体を欠損したdb/dbマウス、レプチンを欠損したob/obマウスは食欲が収まらず、通常よりも大きな個体として知られる。
 またレプチンは交感神経系を亢進させる働きを持っているため、過度の肥満は血管の収縮を引き起こし、高血圧を発症する。

・TNFα
 
 炎症性サイトカインの一種である。固形がんの壊死を生じさせるサイトカインとして発見されたが、インスリン感受性の低下や脂肪組織のグルコース取り込み低下の作用もある。このため、肥満は血糖値を上昇させて糖尿病を引きおこすのだ。



〇参考文献
・Qシリーズ 新組織学
・脂肪細胞の正体 河田照雄