毛乳頭細胞
(Follicle Dermal Papilla Cells)


〇毛乳頭細胞とは

毛乳頭細胞は、毛乳頭に位置する細胞である。毛母細胞にシグナルを送り、毛の発生周期を制御する働きを担う。男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体を発現し、それに対する応答が調べられている。


毛包
図1 毛





〇アンドロゲン
アンドロゲンはステロイドの一種で、主に精巣のライディッヒ細胞から分泌される男性ホルモンである。女性の場合は卵巣内の卵胞で産生され、間もなくエストロゲンに変換される。副腎においては両性で分泌される。30歳ころから減少をはじめ、更年期を迎える。

第二次性徴を発現させる物質を総称してアンドロゲンと呼び、具体的にはテストステロンをはじめとする数種類のホルモンからなる。思春期開始時に多く発現し、男性器や陰毛の発達、精子形成、筋肉や骨格の発達、声変わり、体毛増加を引き起こす。

アンドロゲンはステロイドであるから、その受容体は細胞質に位置し、核内受容体として働く。受容すると転写因子として核内に入り、特定の遺伝子を発現させている。
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図2 テストステロン


〇アンドロゲンの作用

アンドロゲンは、男女共に認められる腋毛や髪毛の硬毛化や、男性のみの髭、胸毛等の毛を増やすのに作用し、体全体の産毛や眉毛には関与しないと言われている。

毛のサイクルは成長期(5年)、退行期(3日)、休止期(数カ月)を繰り返す。アンドロゲンはひげの成長期を延長する作用を持つが、髪のそれは短くする。反応の多様性はホルモン受容体の差に起因すると考えられており、エピジェネティクスが複雑に作用していることが想像される。

さて、禿について考えれば、頭頂部が側頭部よりも禿げやすいなどの部位差が見られる。テステステロンは毛乳頭で5αリダクターゼに還元され、デヒドロテストステロン(DHT)となってから実際に作用するが、禿げやすい部位と禿げにくい部位では5αリダクターゼの種類が異なっていることが知られており、禿げやすさの違いはこれが原因とされる。

"女性ホルモンで髪の毛が促進され、男性ホルモンで退化する"というアイデアは良く知られているが、そもそも毛乳頭に女性ホルモン受容体があるのかは不明であり、俗説に過ぎない。髪はヒトに独特なものであって、実験動物がうまく応用できないという。

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図3 フランシスコザビエル
 これはトンスラと呼ばれるカトリック聖職者の髪型であり、禿げとは異なるが、「禿げといえばザビエル」という風によく知られている。本来のトンスラは側頭部の髪も切って鉢巻状にのみ残すものであり、この図は想像で描かれた。



〇参考文献

・髪の毛の生物学 安藤健二

〇関連項目
毛母細胞

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