好塩基球
(Basophil)


○好塩基球とは


顆粒球のうち、メチレンブルーやヘマトキシリンなどの塩基性色素に染まるものを好塩基球という。その数は好酸球や好中球に比べて非常に少ない(白血球の0.5%)。体表面の寄生虫への応答や、アレルギー反応に関与すると考えられている。
Blausen_0077_Basophil_(crop)
図1 好塩基球 英語版Wikipediaより






○アレルギーと好塩基球


アレルギーはI型からIV型に分類され、I型は「IgE抗体や肥満細胞を介した素早い応答」、II型、III型は「IgG抗体を介した数時間程度遅れた応答」、IV型は「抗体を介さないキラーT細胞による遅延(慢性)型応答」である。と従来言われていたのだが、IgE抗体は慢性型応答にも関わっているということが近年明らかになっている。IgE依存的な慢性型応答に対して司令塔的に働くのが好塩基球であり、それを除去すると応答が消失するという。

ーーーーーーーーーーーーー
抗体(免疫グロブリン, Ig)の種類について

IgG...「Y」の形の単量体として存在する抗体。全体の70%以上を占める多数派。様々な抗原と結合し、補体活性化やオプソニン化による食作用の促進など

IgE...「Y」の形の単量体として存在する抗体。全体の0.001%という微量の抗体。アレルギーに関連。

Antibody

図 抗体の構造 wikiより
 IgG, IgEともに単量体であり、図のような形で存在する。抗体と直接結合するY字の先端部分を可変部、それ以外を定常部と呼ぶ。Y字の下端の定常部をFc領域という。


ーーーーーーーーーーーーー


また好塩基球は、アナフィラキシーショック(急性なⅠ型アレルギー)にも関与する。肥満細胞が原因となる一般的なアナフィラキシーショックはIgE依存的なのに対し、好塩基球によるアナフィラキシーショックはIgG依存的である。好塩基球は肥満細胞と同様に膜上にFc受容体を持ち、抗原抗体複合体を受容するとシグナルが走り、血小板活性化因子(PAF)を放出して毛細血管を拡張させる。これが激しい場合、血圧が急低下することによってショックに陥る。

JCI57296.f1


図 アナフィラキシーの様式
 上段が肥満細胞(マスト細胞)によるアナフィラキシー、中段が好塩基球、下段が好中球によるもの。
J Clin Invest. 2011;121(4):1260-1263. https://doi.org/10.1172/JCI57296.


○寄生虫と好塩基球


寄生虫の代表として、マダニの研究がなされている。マダ二は、皮膚に付着すると1~2週間吸血を続け、大きく膨らんで去っていくという特徴を持つ。中に病原体を持っていて、ライム病などの深刻な感染症を引き起こす可能性があるが、興味深いことにマウスやモルモットでは二度目のマダニ吸血に耐性があることが知られている。この免疫反応を担うのが好塩基球であり、吸血部位に集まっているようだ。詳しいことは不明であるが、好塩基球を除去すると耐性が失われることが知られている。

○まとめ

  • 塩基性色素に染まる顆粒球を好塩基球という。

  • アレルギー反応に関与する。

  • 体内に少ししか存在せず、多くの謎が残されている。




〇関連項目


〇参考文献

Bloom!医科歯科大 No.11
「長い間謎であった好塩基球の生体内での役割を解明」 烏山 一

東京医科歯科大学 研究紹介 免疫反応における好塩基球の役割の解明
https://immune-regulation.org/index.php?id=13

Wikipeda「好塩基球」「Basophil」

実験医学 2012年4月号 慢性アレルギー応答