ランゲルハンス細胞
(Langerhans cell)


○ランゲルハンス細胞とは

ランゲルハンス細胞は、表皮の有棘層に位置する樹状細胞の一種である。外部から侵入する細菌やウイルス、かび等を食し、T細胞への抗原提示を行っている。また温度や紫外線の情報を脳に伝え、反応を適切に制御する働きもあるとされる。

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図1 表皮の構造

○アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、外部からの刺激に対する皮膚の炎症を伴うアレルギー反応、として定義される。主な症状は痒みで、小児に発症する。ランゲルハンス細胞は抗原提示を行うと同時に、IgE受容体を介してヒスタミン顆粒を放出する働きを持つ。アトピー性皮膚炎の要因には二種類あって、内因性、外因性と呼ばれる。

まず内因性アトピー性皮膚炎は、全体の2割を占める反応である。皮膚角層バリアのわずかな隙間から侵入できる小分子(金属イオンなど)がT細胞を活性化し、B細胞が抗体を生成して炎症を引き起こすと言われているが、詳細は不明。

外因性アトピー性皮膚炎は、全体の8割に昇るアレルギー反応である。角層の隙間から花粉などの大きなアレルゲンが侵入し、それをランゲルハンス細胞が食す。その人が環境因子へのIgEを持つ場合に炎症を生じ、アトピー性皮膚炎となる。遺伝的にフィラグリンが弱く、ケラチンが十分に結合していない患者が発症しやすい。すなわち、外因性アトピー性皮膚炎は角層の異常とアレルギー反応が両方揃った場合に発症する疾患である。

ただし、ランゲルハンス細胞は突起を角層バリアの上にまで伸ばしているとの報告もあり、たとえ抗原が体内に侵入しなくともアトピー性皮膚炎を発症する可能性がある。


○金属アレルギー

金属アレルギーは、内因性アトピー性皮膚炎の一種である。体に金属を身につけている場合、その一部がイオン化して体内に侵入する。金属イオン自体は抗原ではいが、体内のタンパク質と結合したものが抗原となる。ランゲルハンス細胞が食してT細胞に提示して炎症を起こす。患者の角層は正常である。

表皮に接しているだけのイヤリングよりも、皮下組織に触れるピアスの方が金属アレルギーを起こしやすい。また、イオン化しない金銀にはアレルギーが見られず、ニッケル、コバルト、クロムのアレルギー頻度が高いことが知られている。


○パウル・ランゲルハンス

パウル・ランゲルハンスとは、ランゲルハンス細胞の名前の由来となったドイツ人の医者である。1847年のプロイセンに生まれ、21歳の時に皮膚のランゲルハンス細胞を、翌年には膵臓のランゲルハンス島を発見し、科学に多大な貢献をもたらしている。

ところがその後、ランゲルハンス細胞は27歳で自身の研究対象であった結核に感染し、大西洋のとある島に隠居することとなった。彼はその地で無脊椎動物の研究に従事し、37歳で結婚して幸せな日々を過ごしたというが、僅か3年後に腎不全で死亡してしまった。

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図2 パウル・ランゲルハンス


〇関連項目
角化細胞
・樹状細胞


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