ヒトの全細胞

200種類あると言われる人の細胞を、一つ一つ、全てまとめるつもりです。
2019/1/6 human-cell.comにサイト移転します。よろしくお願いします


桿体細胞
(Rod cell)

○桿体細胞とは


桿体細胞は、眼球の網膜に存在し、明かりを検出する細胞である。色素としてロドプシンを持っているが、一種類であるため、色を認識することはできない。暗所において機能し、明所に働く錐体細胞とともに、まとめて視細胞と呼ばれている。網膜は眼球の基底に存在する膜であるが、その表(外界)側に神経が走っており、桿体・錐体細胞はそれよりも内側に所在する。色素が存在する外節、ミトコンドリアなどがある内節、シナプス領域からなり、円柱型である。外節は扁平な袋状の円板膜と呼ばれる構造をしており、膜上にロドプシンが刺さる。一次繊毛が変形してできたこの構造によって、神経細胞層を透過してきた光を効率よく吸収することができる。

桿体細胞

図1:桿体細胞(Wikipedia)


○ロドプシンとレチノール


ロドプシンは視細胞に存在する色素であって、深青色に吸光ピークを持つため、補色によって視紅と呼ばれる。7回膜貫通型Gタンパク質共役型受容体のオプシンと、オプシンに可逆的に共有結合するレチナールから成る。レチナールはビタミンA(レチノール)が酸化されてできるアルデヒドであるため、ビタミンAの欠乏は夜盲症をもたらす。レチノールからレチナールへの酸化反応は、網膜に豊富に存在するアルコール脱水素酵素が担う。メタノールを飲むと失明するのは、メタノールからアルコール脱水素酵素によって生成されるホルムアルデヒドが有毒なためである。

ビタミンAから合成されたレチナールはビタミンAと同じくトランス型を取るが、酵素イソメラーゼによってシス型となり、オプシンに収納される。ロドプシンに光が当たるとレチナールはシス型からより安定なトランス型に変化し、オプシンから外れる。この時、ロドプシンはメタロドプシンⅡという活性体となっている。

レチノール
図2:レチノール
末尾のアルコールがアルデヒドになったものがレチナールである。


○シグナル伝達


一分子のメタロドプシンⅡはGタンパク質であるトランスデューシンを介してホスホジエステラーゼを活性化し、細胞内のcGMPが分解される。網膜には環状ヌクレオチド依存性Na,Caチャネルが存在しており、cGMP濃度が低下すると閉じるため、過分極が起こる。通常状態における桿体細胞はやや脱分極状態にあり、シナプス末端から双極細胞へ、神経伝達物質のグルタミン酸が放出されている。過分極はこのグルタミン酸の量を減らし、双極細胞→神経節細胞へと、下流の神経へシグナルを伝えることができる。


網膜の細胞
図3 網膜の構造
 視細胞は一番下層の視細胞外節層で光を受容し、シグナルを外核層→内核層(双極細胞)へと伝える。


○シャットダウンと回復


光を受容した桿体細胞は、間もなく元に戻り、新たな光を吸収する必要がある。その機構として、メタロドプシンⅡとGタンパク質の不活化や、cGMPの合成促進が行われている。メタロドプシンⅡはロドプシンキナーゼによってリン酸化され、さらにアレスチンというタンパク質に結合することで、Gタンパク質の活性化能を失う。そのGタンパク質は、GAP(GTPase Acivating protein)の働きを受けて不活性型に変化する。cGMPに関しては、細胞内Ca濃度の低下で活性化されるグラニル酸シクラーゼによって合成される。合成されたcGMPはチャネルを開いて脱分極を引き起こし、桿体細胞をもとの不活状態に戻す。アレスチンによるロドプシンの不活化が強力であるため、ヒトの桿体細胞の回復には30分程度の時間がかかる。



〇関連項目
錐体細胞


〇参考文献

・視細胞の光受容メカニズム 今元泰
・ロドプシンー脳科学辞典(https://bsd.neuroinf.jp/wiki/ロドプシン)
・桿体細胞-Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/桿体細胞)
・Rod cell-wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Rod_cell)



目次へ

プライバシーポリシー

最終更新:2019年1月20日

このページに記載されたプライバシーポリシーの内容は適宜変更を加えることがございます。

人情報の利用目的

当ブログ「ヒトの全細胞」(http://human-cell.com)では、メールでのお問い合わせや内容誤認のご指摘、コメントの投稿などの際に、名前(ハンドルネーム)、メールアドレス等の個人情報をご登録いただくことがございます。これらの個人情報は質問やお問い合わせに対する回答や必要な情報をメールもしくはコメント欄にてご連絡する場合にのみ利用させていただき、その目的以外では利用いたしません。

個人情報に関する日本の法令を遵守し、得られた個人情報は適切に管理致します。法令への協力で開示を必要とする場合、ご本人の希望がある場合を除き、第三者に開示することは一切ございません。ご本人から個人データの開示、訂正、追加、削除、利用停止のご希望の場合には、本人確認をさせていただいた上で、速やかに対応させていただきます。メールもしくはコメント欄にてその旨をお伝えください。

 アクセス解析ツールについて

当ブログ「ヒトの全細胞」では、サイト移転およびリニューアルを行いました2019年1月より、Google のアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を利用しています。
Googleアナリティクスはアクセスのデータ収集のためにCookieを使用しています。このデータは匿名で取得されており、個人を特定することはできないものですが、もしデータ収集を拒否されたい場合には、Cookieを無効にすることで可能です。各ブラウザの設定をご確認ください。

Google Analyticsに関しては、詳細は規約(リンク)をご参照ください。

 広告について

当ブログ「ヒトの全細胞」は、2019年7月よりGoogle AdSenseを掲載しています。

ヒト細胞に関する生物学的なコンテンツのほか、Google から提供された宣伝も掲載致します。そのために必要な情報をサイトの訪問者から収集したり、ブラウザにクッキーを設定したりする場合がございます。

免責事項

当ブログ「ヒトの全細胞」のコンテンツにつきまして、インターネットや本、論文、学会資料など、可能な限り多様な情報源を用いて正確な情報を掲載するよう努めておりますが、古い情報や誤った情報を掲載していたり、英語の誤訳が生じている可能性もございます。試験勉強やレポート作成でこのサイトをご参照される際は、同時に提示している参考文献もお読みいただくことを強くお勧めいたします。

当ブログに掲載内容によって生じた損害について、一切の責任は負いかねますのでご了承ください。

続きを読む

↑このページのトップヘ