ヒトの全細胞

200種類あると言われる人の細胞を、一つ一つ、全てまとめるつもりです。
2019/1/6 human-cell.comにサイト移転します。よろしくお願いします

「ヒトの全細胞」です。

ヒトの細胞は一般に200種あると言われています。随時更新していきます。


現在55細胞です。(最終更新:2020年5月14日)

◎目に関係する細胞 (現在7細胞)
桿体細胞
錐体細胞
双極細胞
水平細胞
アマクリン細胞
神経節細胞
ミュラー細胞

◎血液に関係する細胞(現在6細胞)
造血幹細胞
血小板
赤血球
巨核球
周皮細胞

◎胃に関係する細胞(現在5細胞)
壁細胞
主細胞
G細胞
ECL細胞
胃小窩細胞

◎皮膚に関係する細胞(現在7細胞)
角化細胞
メラニン細胞
ランゲルハンス細胞
メルケル細胞
毛母細胞
毛乳頭細胞
皮脂腺細胞

◎神経や脳に関係する細胞(現在8細胞)
神経細胞
シュワン細胞
オリゴデンドロサイト
神経幹細胞
アストロサイト
ミクログリア
上衣細胞
外套細胞

◎腎臓に関連する細胞(現在4細胞)
足細胞
メサンギウム細胞
傍糸球体細胞
尿細管上皮細胞

◎結合組織に関連する細胞(現在6細胞)
線維芽細胞
白色脂肪細胞
褐色脂肪細胞
骨芽細胞
骨細胞
破骨細胞

◎免疫に関連する細胞(現在6細胞)
肥満細胞
好酸球
好塩基球
好中球
マクロファージ

◎呼吸器系の細胞
Ⅰ型肺胞上皮細胞

◎生殖細胞(現在2細胞)

◎肝臓の細胞(現在3細胞)
・クッパ―細胞 → マクロファージ

◎(番外編)培養細胞
HeLa細胞


◎その他
プライバシーポリシー




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マクロファージ
(Macrophage)


マクロファージとは

マクロファージは、死細胞や体外由来の異物などに対して強い食作用を示す免疫細胞である。好中球(ミクロファージ:小食細胞)に対応して、マクロファージ(大食細胞)と名付けられた。血中を流れる単球がいずれかの組織に入ったとき、マクロファージに分化する。


図1 マウスのマクロファージ
 wikipedia より

マクロファージの発見

マクロファージは1892年にロシアの微生物学者・メチニコフによって発見された。メチンコフはヒトデの幼生にバラの棘を刺して一晩放置していたところ、運動性の細胞によって包囲されていることを発見し、この細胞をマクロファージと名付けた。メチニコフはこの功績で1908年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。


なお、ヒトの免疫細胞はマクロファージのほかに単球や好中球・樹状細胞・リンパ球など様々な種類のものが存在するが、無脊椎動物ではマクロファージのみで免疫を担うと考えられている。

M1/M2マクロファージ

マクロファージには、TNFαなどの炎症性サイトカインを産生して炎症を促進するM1型と、IL-10などの抗炎症性サイトカインを産生して炎症を抑制するM2型という全く正反対の種類が存在する。M1型は免疫応答、M2型は組織修復に働くと考えられている。


M1マクロファージはサイトカインを放出して炎症を促進する働きのほか、貪食した異物をMHCクラス2で提示し、ヘルパーT細胞を活性化させる働きがある。


M1マクロファージはIFN-γなどのTh1サイトカインによって、M2マクロファージはIL-4、IL-6やIL-10などのTh2サイトカインによって活性化されたマクロファージである。Th1・Th2についてはT細胞の項目を参照。

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図2 M1/M2マクロファージ


ガン悪性化とマクロファージ

腫瘍組織に浸潤したマクロファージを、TAMTumor-associated macrophages)と呼ぶ。TAMはM2マクロファージに属するため、腫瘍でのTAMは免疫応答を抑制し、腫瘍の悪性化の原因となることが指摘されている。

腫瘍の周囲のマクロファージがM2型であるのは、がん細胞がIL-6を分泌しており、マクロファージのM2型への分化を促しているためであると考えられている。腫瘍に存在するマクロファージは免疫応答抑制に留まらず、VEGF(血管内皮増殖因子)を産生して血管新生を促したり、EGF,FGFといった成長因子を放出することにより、がん微小環境を形成することによっても悪性化を引き起こしている。

特殊化したマクロファージ

組織特異的に特殊化したマクロファージとしては、以下のものがあげられる。

破骨細胞 … 骨の分解を行うマクロファージ
・クッパ―細胞 … 肝臓の類洞に位置するマクロファージ(下)
ミクログリア … 脳内のマクロファージ
・肺胞大食細胞 … 肺胞のマクロファージ

クッパ―細胞

クッパ―細胞は、肝臓の類洞内皮細胞に接着し、類洞内に常在するマクロファージの一種である。

クッパ―細胞は通常のマクロファージと同様、消化管を介して取り込まれた異物を排除する働きを持つ。また、大量の異物を食すると活性化し、サイトカインを放出して類洞外の伊東細胞を刺激、コラーゲン産生・線維化を促進する。

肝臓
図 肝臓の細胞


参考文献

日本血栓止血学会 マクロファージ
 https://www.jsth.org/glossary_detail/?id=42

腫瘍微小環境におけるマクロファージの役割 -病理学から見たがん治療へのアプローチ 
 熊本大 竹屋元裕 先生



伊東細胞
(Ito cell)




伊東細胞とは

伊東細胞は、肝臓のディッセ腔に位置する繊維芽細胞の一種であり、ビタミンAを貯蔵する働きを持つ。

1956年に伊東俊夫教授によって発見されたことから、その名がつけられている。 肝星細胞(HSC)ともいう。


肝臓

図 肝臓の細胞たち
 伊東細胞は、類洞と肝細胞の隙間であるディッセ腔に位置する。


ディッセ腔

門脈からの血液が流れ込む類洞の内皮細胞と、肝細胞との間の隙間をディッセ腔と呼ぶ。類洞内皮細胞には基底膜が存在せず、ディッセ腔は4型コラーゲンなどの細胞外基質が薄く存在する空間となっている。伊東細胞はこのディッセ腔に存在する線維芽細胞の一種である。


類洞内皮細胞は直径120nm程度の穴が無数に空いた有窓性の細胞であるため、ディッセ腔には血液の小粒子・液体成分が自由に流入・流出することができる。肝細胞はディッセ腔に流入した分子を細胞内に取り込み、各種代謝を行っている。


伊東細胞の機能

伊東細胞の第一の役割は、ビタミンAの貯蔵である。ビタミンAの貯蔵量は体内の80%にも及ぶと考えられているが、胎生期には少なく、老齢になるほど増加する。ビタミンAを過剰摂取すると細胞は肥大し、核を含むすべての小器官はビタミンAを含む脂肪滴に押しつぶされてしまう。


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図 ビタミンAの構造
 ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、伊東細胞の脂肪滴に貯蔵される。

https://www.researchgate.net/profile/Nevine_Bahaa/publication/323001572/figure/fig11/AS:591573704265734@1518053570806/Control-group-showing-space-of-Disse-containing-Ito-cell-I-closely-related-to.png
図 伊東細胞の電子顕微鏡画像 (Fattin, 2017より)
 中央に、ビタミンAを含んだ大きな脂肪滴(L) を持った伊東細胞が観察される。


伊東細胞のもう一つの役割は、細胞外基質の産生・分解である。伊東細胞は繊維芽細胞と同様にコラーゲンやヒアルロン酸を分泌し、また時には分解して、ディッセ腔内部の環境を維持している。


肝線維化と伊東細胞

肝臓が傷害すると、他の体内各所と同様に細胞外基質が産生され、線維化が起こる。伊東細胞は壊死した肝臓に反応し、細胞外基質を産生して肝線維化を引き起こす原因と考えられている。


慢性的な肝炎ではクッパ―細胞やマクロファージが反応し、サイトカインを放出して伊東細胞の筋線維芽細胞への分化・増殖を促す。筋線維芽細胞に変化した伊東細胞は貯留していたビタミンAを失い、大量のコラーゲンを産生するようになる。


線維化した肝臓は固く・黄色くなり、その機能が低下する。また門脈を圧迫し、腹水の増加も見られる。肝線維化は不可逆的な肝硬変に繋がり、最終的に肝不全の原因となることから、伊東細胞は臨床的に注目されている。
図 肝硬変(Liver Cirrhosis, 英語版Wikipedia)
肝硬変になると、肝臓は固く・黄色く変化する。




参考文献

・Qシリーズ 新生理学

・ミノファーゲン製薬 肝臓入門
http://www.minophagen.co.jp/Japanese/general/liver01_02.html

・類洞内壁の伊東細胞
 日本網内系学会会誌 1996

肝細胞
(Hepatocyte)

肝細胞とは

肝細胞は、肝臓を構成する細胞の内で、大多数を占めるものである。タンパク質・脂質・糖質の代謝・解毒・アルコール代謝・胆汁の分泌など、様々な働きをもつ。”肝実質細胞”ともいう。

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図1 肝実質組織 (Wikibooksより)
無数に見える核が肝実質細胞である。中央部に中心静脈、右上に三つ組構造がみられる。

肝臓の構造

肝臓は、およそ1㎏程にもなる大きな臓器である。血液の成分を調整する働きがあるため、小腸で吸収された成分はすべて門脈を通って肝臓に流れ、肝細胞による代謝を受けている


門脈は栄養に富むものの、酸素はすでに小腸で消費しつくされている。そのため、肝臓には大動脈から分岐した肝動脈が別個に流入し、酸素を供給する


門脈肝動脈に胆汁が流れる胆管をくわえた三者は肝臓内で近接して流れており、三つ組構造として観察される。三つ組構造は六角形状に配置されており、その中央には中心静脈が流れる。この六角形状の一単位を肝小葉と呼ぶ。


門脈から流れてきた栄養に富んだ血液は肝細胞間にある間隙の類洞を流れ、類洞を囲む肝細胞によって代謝を受けた後、中心静脈に流入する。


図 肝臓の構造 (英語版Wikipediaより)
六角形の肝小葉が示されている。六角形の頂点では、黄緑色の胆管青い門脈(portal venule)、赤い冠動脈が三つ組構造を形成する。門脈からは紫色で示された類洞へと血液が流れ込み、両脇の肝細胞で処理されたのち、最終的に中心静脈へと流入する。


肝細胞の機能

肝細胞は、様々な肝臓の機能のほぼ全てを果たしている。

・糖質の調整
 肝細胞は、血中をグルコースをグリコーゲンの形に変化させ、蓄積する働きを持つ。低血糖の際は膵臓のランゲルハンス島で分泌されたホルモン、グルカゴンを受容し、グリコーゲンを分解してグルコースを放出する。一方、高血糖時にはインスリンを受容して分解を抑制する。

図 グリコーゲンの模式図(Wikipediaより)
〇で示された物体がグルコースである。グルコースが枝分かれしながら重合し、グリコーゲンを形成する。



・脂肪合成
 肝細胞が蓄えられるグリコーゲンの量には限りがあるため、肝細胞は余剰のグルコースを脂肪としても蓄積する。肝細胞の30%以上が脂肪に圧迫された状態を脂肪肝と呼び、肝機能低下の原因となる。


ガチョウやアヒルの脂肪肝はフォアグラと呼ばれ、フランス料理で食されている。口に管を挿入して餌を流し込む「強制給餌」によって生産されることが動物愛護団体の批判を受け、既にいくつかの国では生産が禁じられている。


図 フォアグラのソテー (Wikipediaより)



・タンパク質代謝
 肝細胞は、血中で膠質浸透圧を生み出すアルブミン、破損した血管壁を埋めるフィブリノーゲンといった血中タンパク質を合成する働きを持つ。血中アミノ酸濃度に応答して発現量が変化する。



・アルコール代謝
 アルコール(エタノール)代謝もまた、肝臓で行われている。摂取されたエタノールは一部は胃から、大部分は小腸から吸収され、肝臓に至る。エタノールは主にまずアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに、さらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸・次いでアセチルCoAへと変化する。


アセチルCoAの多くはクエン酸回路に入り、CO2とH2Oへと分解される。しかしながら、アルコール摂取量が多いとそれも限界を迎え、アセチルCoAは脂肪酸合成に用いられるようになる。したがって、多量の飲酒は脂肪合成を招き、長期的には脂肪肝の原因となる。



・アンモニア代謝
アンモニア(NH3)は神経毒性を持つ、生体に有害な物質である。全身の組織で常時産生され、グルタミンの形で血中に排出されている。肝細胞は血中のグルタミンを取り込んでアンモニアを再生産し、アンモニアからさらに尿素を合成する。肝細胞で産生された尿素は尿中に排泄される。



・コレステロールの代謝
細胞膜の材料の一つであるコレステロールは、3割が食物から取り込まれ、7割は肝細胞で合成されている。合成の材料となるのはアセチルCoAであり、30段階の反応を経てコレステロールに至る。反応の二段階目に用いられるHMG-CoA還元酵素の阻害剤、スタチン類は高脂血症の治療薬として用いられている。
・薬物代謝
 薬物代謝は、主に酸化反応による変性(第1相)、グルクロン酸やグルタチオンを付加する抱合(第2相)排出(第3相)と、三つの段階に分けることができる。


 主に肝臓で行われている変性の過程においては、シトクロムP450(CYP450)と呼ばれるグループに属した酸化酵素が重要な働きを持つ。シトクロムP450は、一酸化炭素に結合すると450nmに特徴的な吸光ピークが現れることからその名がつけられている。


 CYP450には遺伝子多型が存在し、ヒトによって酵素活性が異なることから、人によっては薬物が代謝されずに高濃度で血中に残留し、深刻な副作用をもたらすことがある。また、グレープフレーツなどいくつかの柑橘類は主要なCYP450の一つ、CYP3A4を阻害する物質を含むため、薬剤との併用には注意しなければならない。

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図 グレープフルーツ


・胆汁分泌
 肝臓は絶えず胆汁を分泌し、胆汁は胆管を介して胆のうに蓄えられたのち、十二指腸に放出される。胆汁には、胆汁酸と胆汁色素が含まれている。


胆汁酸は、両親媒性の酸である。疎水部を介して食物中の脂肪分に親和し、細かい粒に分ける(乳化)働きを持つ。脂肪を乳化することにより、消化酵素リパーゼによる消化を可能とする。胆汁酸の多くは再び小腸で吸収され、肝臓を経て胆汁に入る。これを腸肝循環という。


胆汁酸の例:コール酸

胆汁色素の正体は、ヘモグロビンを構成するヘムの代謝物、ビリルビンである。ビリルビンは黄色い物質であるが、腸内細菌によってウロビリノーゲンという別の物質に、さらにステルコビリンに変化する。ステルコビリンは茶色い物質であり、これが大便を色づける色素となる。


また、ウロビリノーゲンの一部は小腸で吸収され、体内でウロビリンとなる。ウロビリンは黄色い物質であり、尿中に排出されてその色を示している。

肝炎

肝臓が炎症した状態が肝炎、悪化した状態が肝硬変・肝がんである。肝炎の原因は主にB型・C型肝炎ウイルスやアルコールの過剰摂取である。B・C型ウイルスは輸血や刺青によって感染し、慢性肝炎に至る場合が多い。特に血液製剤の肝炎ウイルス汚染はかつて深刻であり、1960年代には輸血された患者の半数が肝炎ウイルスに感染したと考えられているが、現在は0.5%以下と低率に抑えられている。


2015年、C型肝炎ウイルスの治療薬としてソバルディハーボニーという二つの薬の販売が始まった。これらはウイルスの持つRNAポリメラーゼを阻害する薬剤であり、インターフェロンの投与なしに治療効果を発揮するという点で画期的である。その売上高の大きさから、がん治療薬のオプジーボと共に、公的保険を圧迫する薬剤として有名であった。


参考文献

薬害肝炎とは
http://www.yakugai-hcv.jp/about/

デファイテリオ社
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/defitelio/pathological/

ミノファーゲン製薬 肝臓はどんな器官?
http://www.minophagen.co.jp/Japanese/general/liver01_01.html

疾肝啓発 あすか製薬
https://www.aska-pharma.co.jp/kansikkan/basic/02.html

T細胞
(T cell)

T細胞とは

T細胞は、体の免疫を支えている重要な細胞である。リンパ液内で多く見つかることから、B細胞、NK細胞とともに、リンパ球の一つとして数えられている。


T細胞は、異常を起こした細胞を攻撃するキラーT細胞、キラーT細胞や好酸球など別の種類の免疫細胞を活性化するヘルパーT細胞とに大別される。


免疫系の細胞は細胞ごとに特異的な糖タンパク質を細胞膜上に表出しており、そのタンパク質をCD (Cluster of differentiation, 100種類以上)という。特異的にCD2を発現するT細胞の中で、さらにCD4抗原を持つものをヘルパーT細胞CD8抗原を持つものをキラーT細胞として区別することができる。

Tce
図1 T細胞の分類





T細胞の分化

T細胞をはじめとする免疫系の細胞は全て、造血幹細胞が分化することによって生じる。造血幹細胞の一部がまずリンパ芽球に分化し、それが胸腺(Thymus)に移動してさらに分化したものがT細胞である。


リンパ芽球ははじめCD4、CD8のどちらも発現しておらず、ダブルネガティブ(DN)と呼ばれる状態にある。T細胞が抗原を認識するための受容体である、TCR(T cell receptor)が完成するとCD4+CD8+のダブルポジティブ(DP)となる。


T細胞は多様な抗原を認識する必要があるため、TCRをコードする遺伝子領域を細胞ごとに変異させている。結果としてT細胞はそれぞれが独自のTCRを持っていることとなる。そして、正の選択・負の選択と呼ばれる二回の選抜を経て、免疫として不適合なTCRを持った細胞が除かれる。


正の選択では、胸腺皮質上皮細胞(cTEC)の膜に発現した抗原提示分子のMHCと相互作用できる、すなわち免疫系として機能できるものだけが生き残り、CD4かCD8か片方のみを発現するシングルポジティブの状態となる。


そして最後に負の選択を受け、胸腺髄質上皮細胞・樹状細胞に提示された自己抗原に反応するものが除かれている。

ナイーブT細胞


 負の選択を生き延びたT細胞は循環血を流れ、リンパ節に至る。抗原に出会う前の段階のT細胞を、ナイーブT細胞という。二次リンパ組織(リンパ節)で樹状細胞に出会い、提示する抗原をTCRを介して受容した場合に限って活性化され(エフェクターT細胞)、その場のサイトカインに応じて分化・増加して局所に移動する。活性化に際しては、抗原との認識のほかに、エフェクターT細胞膜上のCD28と、樹状細胞膜上のCD80/CD86との結合による副刺激も必要となる。



ヘルパーT細胞

 CD4抗原を発現するリンパ球の集団をヘルパーT細胞という。機能に応じてTh1,Th2,Th17,Tregなどの亜集団に分けることができる。

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図 Th細胞の分化

・Th1細胞
 IFNγIL-12の刺激を受けてSTAT1やSTAT3が活性化し、T-betという転写因子の働きで分化したものがTh1細胞である。IL-12は樹状細胞とマクロファージが、IFNγはNK細胞が分泌する。Th1細胞は、IFNγを筆頭とするいわゆるTh1サイトカインを産生する。細胞性免疫に関与し、マクロファージやキラーT細胞を活性化してウイルスを除去する働きを持つ。Th2の機能を抑制する。

・Th2細胞
 IL-4やIL-13の刺激でSTAT6が活性化し、転写因子GATA3の働きで分化する。IL-4を筆頭とするTh2サイトカインを出す。B細胞を刺激して抗体産生を促進したり、好酸球を活性化したりといった働きを持ち、液性免疫を促進する。

・Th17細胞
 TGFβとIL-6両方の刺激で転写因子RORγtが働き、分化する。サイトカインIL-17を放出し、炎症を引きおこす。リウマチ、多発性硬化症などの原因となる細胞である。

・Treg細胞
 CD4+に加えてCD25+を膜上に持つ、自己免疫を抑制する細胞である。TGFβのみの刺激を受けると、Foxp3が転写因子として働き、分化する。CTLA4を膜上に持ち、抗原提示細胞のCD80/86と結合することにより、T細胞の活性化に必要な副刺激を抑制する。

キラーT細胞

 CD8+の細胞をキラーT細胞という。細胞傷害物質であるパーフォリンやグランザイム、TNFなどを放出したり、FasL(Fasリガンド)によってFasを刺激して細胞死を誘導する機能を持つ。



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